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個人再生とは

「個人再生手続」(個人債務者の再生手続)は,経済的に苦しい状況にある個人(債務者)が生活の見直しを図ることを助けるための手続です。

将来の継続的な収入によって,例えば債務総額を2割まで減額された金額を原則として3年間で分割して返済する計画(「再生計画」)を立て,裁判所に認められれば,その再生計画に従った返済をすることで,残りの債務が免除される場合が,典型的なパターンです。

「個人再生手続」は,民事再生法という法律が定める民事再生手続の特則です。
民事再生手続は,平成12年4月1日施行された民事再生法によって創設されましたが,当初は,もっぱら会社の再建に必要な複雑な手続が定められていました(「通常の民事再生手続」)。
「個人再生手続」は,民事再生法を改正して平成13年4月1日から施行された制度であり,個人債務者向けに,「通常の民事再生手続」を簡素化し,利用しやすくしたものです。

個人再生手続には,借金などの無担保債務の総額(抵当権がある住宅ローンなどは除く。)が5000万円以下である場合に,「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があります。

1 「小規模個人再生」

(1) 同意しない回答が債権者(債権額)全体の2分の1未満であることが(消極的同意)
再生計画が認可されるためには,通常の民事再生手続では多数の債権者が同意する必要がありますが,個人債務者の民事再生手続では,多数の債権者が,賛成まではしなくとも,反対しないこと(消極的同意)だけで足りることとされています。

(2) 返済しなければならない総額は,次のア,イのいずれか多い方が最低弁済額となります。

ア 無担保債務の総額によって,次のとおり定められています。
(ア) 総額が100万円未満の場合   総額
(イ) 総額が100万円以上500万円未満の場合   100万円
(ウ) 総額が500万円以上1500万円未満の場合   総額の2割
(エ) 総額が1500万円以上3000万円未満の場合   300万円
(オ) 総額が3000万円以上のとき   総額の1割

当事務所に訪れ,個人再生手続を希望される方は,(イ)の場合がほとんどで,借金の2割を,後記(3)のとおり,3年間で弁済するというのが通例です。


イ 清算価値,つまり,総額債務者が自分の財産を処分して返済に当てるとした場合の額

例えば,無担保債務の総額が600万円である場合,300万円の預金があるとすると,最低弁済額は,120万円ではなく,300万円となります。
破産手続による場合より多くの金額を弁済するという考え方(清算価値保障原則),つまり,債務者が破産した場合以上に,債権者が損をし,債務者が特をするのはおかしいという発想です。


(3) 前記(2)に従って決まった返済総額を,原則3年間(特別の事情が場合には延長が認められる場合ありますが,最長は5年間です。)で分割して弁済します。

つまり,前記(2)イの方が多い場合であっても,その財産自体は残したまま,その金額を分割して弁済することができることになります。

2 給与所得者等再生

給与所得者等再生は,サラリーマンなど将来の収入を確実で簡単に把握することが可能な人です。

上記のように,小規模個人再生は,消極的同意とはいえ,再生計画が認可されるために,一定の同意が必要ですが,給与所得者等再生は,将来の収入を確実で簡単に把握できる場合ですので,債権者の消極的同意さえも必要がありません。債権者に意見を聞いたうえ,裁判所が判断します。

弁済期間・方法も,小規模個人再生と同様ですが,債務者の年収額から生活に必要な費用を差し引いた額(可処分所得額)の2年分の金額が,上記2のア,イよりも多い場合は,この金額が最低弁済額となります。
生活に必要な費用とは,生活保護を受けた場合に受給できる最低生活費に近い金額となります。

給与所得者等再生の場合,債権者の消極的同意さえ必要ないという点で,再生計画が認可されるための法律で定められた要件は,小規模個人再生の場合より緩和されているのですが,年収額によっては,小規模個人再生の場合より返済額が多くなる場合があります。

つまり,給与所得者等再生による場合は,年収額にかかわらず,生活保護を受けた場合と同レベルの生活をしなければならないことになります。
そこで,現実には,多数の債権者が反対するということはないので,サラリーマンなどの場合であっても,小規模個人再生を申立てる場合がほとんどです。

○ 民事再生手続では,住宅ローンの支払いが困難になっても,住宅を手放さずにすむ手続があります(「住宅資金貸付債権に関する特則」)。

個人再生手続は,無担保債権について,一定の減額を受けたうえ,分割して弁済することができるようにする仕組みですが,債権者を公平に扱うことを貫徹して,抵当権がある住宅ローンも無担保債権と同一に扱わなければならないとすると,債権者は抵当権を実行し,債務者は住宅を手放さなければならないことになります。

民事再生法は,債務者の生活の建て直しを図るための生活の基盤を確保するという観点から,再生計画案の中に,返済期間の延長などをする住宅ローン特別条項(正式名称:「住宅資金特別条項」)を設けることによって,住宅を手放さないで済むようにできるシステムを創設したのです。

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